桜満開の房総・山上の古刹参拝記

 

穏やかな晴天と「桜の見ごろは今日まで」という予報で、その朝急に思い立って千葉・房総に出かけました。

 

「春といえば房総!」です(刷り込まれている…)。

さらに今月が東南吉方位で、温泉、海の幸、桜、近場(これが大きい)、

気楽に行けるのが房総のいいところです。

 

房総はメジャーなところにはある程度行っているのですが、毎回初めての場所を開拓するようにしています。

今回は以前から気になっていた「鹿野山神野寺」に行くことにしました。(^o^)丿ゴー♪

 

 

春うららの房総半島はどこまでも広がる水田に水がたたえられ、鏡面のように光輝いていました。

(お米がたくさんとれますように…祈)

 

よく手入れされた里山のところどころに満開の桜が彩りをそえて、

やわらかい緑と調和して、山全体が萌えあがる息吹を感じます。

 

鹿野山は千葉県君津市の山で標高379メートル、千葉県で2番目に高い山だそうです。

 

マザー牧場方面に車を走らせると、途中からだんだん山道が険しくなって、秘境に入っていく雰囲気になります。

マザー牧場を過ぎて、もうしばらく走っていくと鹿野山神野寺が見えてきます。

 

鹿野山神野寺(かのうざんじんやじ)は聖徳太子によって日本で4番目に開かれた“関東最古の名刹”です。

関東の三大修験道の山は「榛名山、筑波山、鹿野山」とのことです。

(まだまだ知らないことがあって、驚きでした…)

 

598年に聖徳太子が開山し、857年には慈覚大師円仁(えんにん)が再興しました。

(慈覚大師円仁は瀧泉寺・目黒不動、立石寺、瑞巌寺、浅草寺、中尊寺など多くの寺院を開山・再興したとされます)

 

山田の話です。

「私が天台宗の僧侶で高く評価しているのが、、慈覚大師円仁(延暦寺第3代座主)です。

天台宗は伝教大師最澄によって開かれましたが、

円仁が全国に有名仏閣を開山していくことで、天台宗は全国的に有名になります。

 

また、浄土宗の祖師・法然上人は慈覚大師をとても尊敬していました。

天台宗延暦寺は鎌倉仏教の祖師たちが学んだ聖地として、『日本仏教の母山』と呼ばれるようになりました」

 

天台宗の道場として栄えますが、1504年に高野山から弘範上人が来山してからは真言宗の霊場になりました。

「厄除け、方位除け、交通安全」のご利益を求めて、多くの参拝客が訪れるとのことです。

 

現在の本堂は1708年に再建されたもので、長い歴史を感じさせる風格があります。

仁王門の横に大きなわらじが置かれ、修験道の霊場らしい重厚な雰囲気はありますが、

山上の開けた場所柄のせいか、それほどケガレは感じませんでした。

 

神野寺のご本尊は薬師如来と軍荼利明王、そして聖徳太子一刀三礼仏です。

軍荼利明王さまがご本尊というのはめずらしいです。

 

ご本尊(秘仏)は12年に1度のご開帳のみになりますが、

不動明王さまがその「お前立」として、本尊を守る形でお像があります。

 

本堂右手には観音堂があり、ご本尊の十一面観音さまをはじめ、

悪いところをなでるとよいとされる「なで観音」とか、間近に拝観できます。

(なで観音をなでるのは、ご遠慮しておきました 笑)

 

本堂の背後に回ると、16歳の聖徳太子像が祀られています。

その右手にはとぐろを巻いた白蛇の像があります。

 

白蛇は軍荼利明王の化身とされ、聖徳太子を守護する形なのでしょう。

 

山田の話です。

「軍荼利明王さまは五大明王の御一方で、南方に配置されています。

クンダリニー・ヨーガでは、生殖器と肛門の間にあるムーラダーラチャクラには、

“3回り半にとぐろを巻いている蛇”に象徴されるクンダリニーという霊的エネルギーが宿っているといいます。

 

クンダリニー・ヨーガはクンダリニーを活性化・上昇させることで、潜在能力を目覚めさせるという行法を行います。私も一時期行ったことがあります。

軍荼利明王さまはこのクンダリニーに由来する明王さまであり、蛇と関係させているのは納得です」

 

本堂裏手奥の石段を上ったところに「奥の院」のお堂があるのですが、

台風の被害による損傷のため拝観できませんでした。

 

奥の院には飯縄大権現(秘仏)が祀られ、カラス天狗もいるということです。

修験道と天狗伝説はほぼセットです。

 

房総半島という土地柄か、神野寺は過去台風による被害をたびたび受けて、

火災や戦乱もあり、何度も再興の歴史を繰り返してきたようです。

 

現在も令和元年の台風被害の修復に至っておらず、寄進をお願いしていました。

(山田も前世で厩戸皇子(聖徳太子)とご縁があるので、寄進しました)

 

鹿野山は「白鳥峰、熊野峰、春日峰」の三峰の総称で、

それぞれの山頂には白鳥神社、熊野神社、春日神社があります。

 

白鳥神社のご祭神はヤマトタケルノ命です。

ヤマトタケルノ命は東征で房総半島に船で渡り、この地の先住民の王を征伐しました。

(妻のオトタチバナヒメは入水して亡くなります)

 

ヤマトタケルノ命は亡くなってから、この地に白鳥となって飛んできたとされます。

それで白鳥神社が創建されたという伝承です。

 

この日の参拝客は少なめでしたが、周辺には門前の食事処、ホテル、駐車場、公園などが整備され、

行事やハイシーズンには大勢の参拝・観光客が訪れているようです。

 

ミロク北辰の大神さまのメッセージです。

 

《房総半島は北辰(北極星一帯)の影響が強い地域です。

下総国一の宮・香取神宮、千葉神社、清澄山など北辰(妙見)の神仏がおられます。

鹿野山も同様に、北辰がバックについています》

 

境内はとても静かで、時々鳥のさえずりが聞こえてきます。

左手にある満開のしだれ桜が見頃を迎えていました。

裏手には広い庭園もあり、栃木県の古峯神社とよく似ているなと思いました。

 

鹿野山から西へ少し行くと、「九十九谷(くじゅうくたに)」という景勝地があり、展望公園があります。

そこからの眺めが素晴らしかったです!

 

目の前が大きな谷になっていて、彼方には上総丘陵の山並みがパノラマのように連なっています。

眼下に見える丘や集落の景観は桃源郷のようです。

千葉県の眺望百景にも登録されており、近くに行かれた時は必見のポイントです!

 

関東最古の名刹「鹿野山神野寺」(千葉県君津市鹿野山)
関東最古の名刹「鹿野山神野寺」(千葉県君津市鹿野山)