長崎の中国の神さまと、美人稲荷

 

11月のある週末、長崎~福岡へ行ってきました。

山田の親族の結婚式で、山田が福岡へ行くことになったので、

私は長崎の母のお見舞いに行こうということで、

朝、いっしょに出発したのです。

 

羽田空港で山田は福岡便に、私は長崎便に分かれました。

航空券を予約したのは9月で、

当初はホームにいる母に面会するつもりだったのですが、

母が体調を崩して入院してしまいました。

 

病院はコロナの関係で一切の面会を認めず、

ましてや県外(それも首都圏!)の人は病院内にも入れないとのことで、

面会はあきらめ、長崎観光に変更しました。

(幸い、私が来た2日後、母は無事退院できました)

 

長崎に住んでいる姉が案内してくれました。

まだ行ったことのない観光スポットを考えて、崇福寺と周辺の寺社に行きました。

 

最初に、長崎市鍛冶屋町に鎮座する八坂神社に行きました。

長崎は坂の町で、山に面して住宅が密集しています。

八坂神社も山手にあり、長い石段を登っていきます。

(か、階段か…… (-_-;)  

長崎市の祇園社・八坂神社
長崎市の祇園社・八坂神社

  

八坂神社はすっきりして、とても場のいい神社でした。

ちょうど七五三の季節で、ご祈祷を受ける家族たちがいました。

 

長崎の「ぎおん様」八坂神社の主祭神はスサノオノ尊で、

妃神のクシイナダヒメノ命、八幡(やはたの)大神、オオヤマクイノ大神を祭ります。

 

スサノオノ尊の神社といえば関東では氷川神社が多いですが、長崎・九州では八坂神社です。

出雲の流れが強い地域なのです。

子どもの頃、祇園祭は地域の最大のお祭りで、各村々で盛大に行われていました。

 

山田の話です。

「スサノオノ尊さまの系統は大きく分けて、

出雲の須佐神社、京都の八坂神社、尾張の津島神社、武蔵の氷川神社の4系統があります。

私の産土の大神である建速須佐之男尊さまは、長崎なので八坂神社系です。

西日本は八坂神社系、中部地方は津島神社系、関東は氷川神社系が多いのです」

 

八坂神社境内の櫻姫美人稲荷神社
八坂神社境内の櫻姫美人稲荷神社

 

境内に「櫻姫美人稲荷神社」というのがあります。

行く前から、この魅力的なネーミングに期待が高まっていました(笑)。

行ってみると、とてもすっきりして明るく、狛犬もかわいらしいお稲荷さんでした。

 

由来によれば、

「ある夫婦が参詣に訪れた折、出産のため難儀している狐を見つけます。

自宅に連れ帰り、一生懸命介抱してあげたところ、無事元気な子狐が生まれました。

十分に養生させた後、狐の親子を元のところに帰してあげました。

すると、その夜、母狐が美しいお姫様に化身して夫婦の夢枕に御礼に現れました」

 

昔は狐と人間の温かい交流があったというお話ですね。

このような由来なので当然、女性の参詣が多く、美容関係の祈願や、

お参りすると身も心も美しくなるといわれているそうです。

(40年前に知りたかった…(T_T)

 

また、八坂神社の境内からすぐ右手には、安産祈願で有名な「清水寺」があります。

京都の清水寺の僧が開基したお寺で、ご本尊は千手観音さまです。

京都清水寺の舞台を模した「清水の舞台」や石仏群など、

いくつかのスポットがあり、興味深く散策できます。

 

龍宮城のような崇福寺三門(楼門)
龍宮城のような崇福寺三門(楼門)

 

最後に、5分ほど歩いたところにある崇福寺に行きました。

崇福寺(そうふくじ)は黄檗宗の寺院で、400年ほど前、

長崎で貿易を行っていた中国福建省出身の華僑の人々が

福州から僧超然(ちょうねん)を招聘して創建しました。

 

中国様式の寺院としては日本最古のものだそうです。

三国志に出てくるようなイメージの楼門や建物があります。

 

長崎は中国とのつながりが深く、新地中華街や孔子廟など中国関係のスポットがいくつかあります。

 

私は大学~社会人まで7年間、長崎市内に住んでいたのですが、

当時は寺社仏閣に興味がなく、有名な崇福寺にも行ったことがありませんでした。

それに、中国のお寺ですから関係ないと思っていたのです。

 

しかし、神業や神伺い特別神事を通して、中国の神さまにも関心が出てきました。

以前に山田の母の産土の守護仏さまの“陽のご存在”が媽祖(まそ)さまという話もありました。

 

当時は「媽祖さま?」とまったくピンとこなかったのですが、

神伺い神事を始めると、会員の守護神の中にも媽祖さまが時々出てくるようになりました。

『秘録』80号には中国の大地母神・女神として媽祖さまも紹介していますし、

中国の神さまにもだいぶ親近感が出てきました。

 

崇福寺大雄宝殿の主尊は釈迦如来で、脇侍に十大弟子の迦葉(かしょう)と阿難を祀ります。

大雄宝殿は国宝で長崎市の最古の建物です。

 

となりに、海の神である媽祖堂があります。

ほか、護宝堂に関帝(三国志の関羽を神格化した)、観音、韋駄天、天王などを祀ります。

崇福寺は道教や仏教が習合したイメージで、日本のお寺の雰囲気とはまったく違います。

 

媽祖さまは航海、漁業の守護神であり、美しい女神さまです。

日本の観音菩薩、白衣観音さまによく似ています。

中国、台湾など東シナ海一帯で媽祖信仰は根強く、

日本にくるとオトタチバナヒメノ命と習合して祭られました。

 

山田の話です。

「日本の神さまや中国の神さまという分類よりも、

東アジア圏としてとらえた方がよいのです。

神仏には“国”という境界はありません。

 

それから、神仏界を超えた原則界はむしろ中国表記であらわした方がピンときます。

私の「太一(たいつ)の直霊の大神」である尊星王上帝さまも、基本的に中国表記です。

古代中国文明の奥深さを感じています」

 

あらためて、「こういう場所があったのに知らなかったなあ」と、

長崎再発見の旅になりました。

 

皆様も長崎に行かれた折は、長崎のパワースポット諏訪神社(おくんちで有名)、

八坂神社、崇福寺にも参拝いただければと思います。

 

半日ほど長崎観光をして、夕方、開業まもない長崎新幹線に乗って博多へ行き、山田と合流しました。

 

崇福寺・媽祖堂
崇福寺・媽祖堂